ベビースリング
●ベビースリングの歴史
1981年、イギリスのレイナーガーナー博士は新しい技術と以前からの考え方を織り交ぜて、この調節自在のパッド入りスリングが生まれました。
ガーナー医師と米国CDM社が数年間にわたってテストし、改良をした後に採用されました。
80年代中ごろにOTSBH(米国CDM社)を創設したDeeDee Devinは、パッドの分野を細分化しました。
サイズもバラエティに富み、他にもたくさんの改良がなされ、商品としてのスリングが誕生しました。
レイナー博士とBill & DeeDee Devin夫妻は子育てについて勉強し続け、人類のための偉大なる前進だと信じてこのスリングを改良し続け、奨励してきました。
日本では1980年代後半より母乳育児を支援する団体「ラ・レーチェ・リーグ」のメンバーにより輸入され、広められてきました。
後にレイナー博士はスリングの専売特許をシアーズ博士に売り、2001年にシアーズ博士の「ベビーブック」の日本語版が翻訳・出版されるとスリングの知名度が一気に上昇し始めました。
2003年10月にはメーカーや販売店により「日本ベビースリング協会」が発足しています。
●ベビースリングの特徴
新生児から使えるだっこひもです。
正期産で何も以上がない赤ちゃんは生後2週間くらいから、16キロ(約3歳)まで使えます。
抱っこしたまま授乳もできます。
生後数日で使い始めても構いませんが、肺が充分機能するまで2週間ほど待った方が良いとする医療者もいます。
お母さんの肩や腰への負担が少ないです。
背中全体で赤ちゃんの体重を支える構造です。
個人差はあるものの、使用者の肩や腰のコリが軽減します。
一日中、スリングで抱っこしているお母さんもいるくらいです。
面倒なバックルやベルトなどがなく、慣れれば赤ちゃんをだっこするまで10秒で完了します。
赤ちゃんが安心し、落ち着きます。
スリングは赤ちゃんと密着するので赤ちゃんが安心し、とても落ち着きます。
無駄に泣かせることも少なくなります。
最近、赤ちゃんの体に直接触れること(アタッチメント)で赤ちゃんの成長を促すという研究報告もあります。
赤ちゃんの自然な体の発達を妨げません。
赤ちゃんは子宮の中で丸くなって成長し、出生の後、時間をかけて脊椎の自然なS字カーブを作り出します。
首がすわるころに頚椎(けいつい)のカーブができ、歩く頃に腰椎のそりができます。
しかし出生後すぐに平らなところに寝かされてばかりいると本来はS字状に湾曲するべき脊椎が、まっすぐに伸びてしまいがちです。
スリングは赤ちゃんの発達にそった抱き方が可能です。
そもそも人類は赤ちゃんをハンモックやおくるみ、籠などに入れて背中が丸くなるように育ててきたのです。
赤ちゃんの体に負担をかけません。
市販のベビーキャリーは赤ちゃんの股一点で赤ちゃんの全体重を支えるようにできています。
パラシュートのハーネスにつながった状態によく似ています。
●ベビースリングの使い方
[肩パッドの位置]
肩の筋肉の上に乗せると肩こりの原因になります。
基本は肩パッドの中心が肩の丸みの中心に当たるように、疲れてきたときは少し外側か内側にずらしながら使いましょう。
[背中の布」
スリングの背中に当たる布を広げることで、赤ちゃんの体重が分散され、初めて体重が軽く感じられます。
背中の布がよじれていると、体重がその部分に集中してしまい、肩こりや腰痛に繋がります。
[(リングありスリングの場合)リングの位置]
リングの位置が低いと、その分ポーチの赤ちゃんが入る分量が減ってしまい、安全に覆うことができないために、不安定になります。
極力鎖骨斜め下~腕の付根付近にくるようにしましょう。
[赤ちゃんの位置&胸と赤ちゃんの距離]
リュックなどの荷物を背負うとき・おんぶ紐で赤ちゃんを背負うときにも共通するのですが、高い位置で抱いて重心を上げることで、とても身体が楽になります。
また、低い位置にぶら下げるように抱くと、重く感じるどころか赤ちゃんがブラブラと不安定になり落下の恐れも出てきます。
リングなしスリングで、赤ちゃんのオシリの位置が自分のおへそより下にくる場合は、小さいものへのサイズ交換を検討しましょう。
[赤ちゃんをしっかり覆えているか]
赤ちゃんの身体を手で支えなければ、落下する危険があります。
下手をすると素手で抱いた方が楽なときもあるかもしれません。
必ず、赤ちゃんの肩甲骨(横抱きの場合は肩~頭)からヒザ裏が覆われるように布をしっかり広げましょう。
[赤ちゃんの重心]
例え肩甲骨からヒザ裏をしっかり覆っていても、重心が赤ちゃんのオシリにかかっていないと、落下の恐れに繋がったりヒザ裏をうっ血させることがあります。
スリングは、自分の身体に赤ちゃんを縛りつけるのではなく、ポーチ部に赤ちゃんが腰掛けるスタイルになるよう抱きます。